生の豆の毒性

今日は豆のお話
f:id:arenlove:20190314081208j:image
豆類の多くは、野草や果実のように生では食べれません。
肉や魚は生で食べようとするなら食べれない事はないですが、豆はそうはいきません。

毒も薬、薬も多用すれば毒と云うように、豆は薬であると共に毒でもあります。


アオイマメというインゲンマメの仲間、別名、ライマビーンとかリマビーンバタービーンなどとも呼ばれ、世界中で作られています。この豆には青酸配糖体を含むものがあり、中米メキシコやガテマラ産の黒色小粒種の中には、100g当り400mgもの青酸を含むものもあります。食べ方を誤ると中毒死します。

青酸配糖自体は無毒ですか、人間の腸内で微生物によって分解され、猛毒の青酸を放出するため毒となります。
青酸配糖体は水に溶けるので、流水でよく晒し、デンプンに調整し、十分に煮沸すると、
無毒化し、安心して食べられます。
そのため日本では、こしあん用にしか使われていません。

 

大豆、落花生、リマビーン、黒豆などには、プロテアーゼ阻害物質が含まれています。
これはタンパク質をアミノ酸に分解し、消化するタンパク分解酵素(トリプシン)の作用を阻害する物質で、
トリプシンインヒビターと呼ばれています。

 

これらの豆を生で食べると、タンパク質を消化することができず、下痢をしたり時には消化不良でお腹が膨らみ、鳥などは死ぬ場合もあります。

これは、生物としての豆が、生き残りをかけた自衛手段とも言えます。


ただこのような豆の毒、100℃で20分加熱すれば消えます。

 

いんげん豆、なた豆には、血液凝集作用成分が含まれています。
例えば、インゲン豆を生で多食すると、含まれているレクチンという物質によって、
腸粘膜に炎症を起し肝臓や心臓に悪影響を及ぼします。
これも一種の毒・生理活性物質です。
なお、この物質も15分程度の煮熟で活性を失います。

 

この様に、豆科植物には有毒物質を含むものが多く、100種類程度の有毒物質が見つけられています。
これは自然界において種実が動物や昆虫の食害から、自らを守る手段です。
ちょうど、人間が生豆を食べると、中毒を起し下痢・腹痛になり、時には死に至るのと同じように、動物や昆虫、土壌中の微生物も生豆を食べては危険ということです。

 

植物体に含まれる有害物質の種類
I.酵素活性阻害物質
1.プロテアーゼ阻害物質 2.ソラマメ病病原物質 3.コリンエステラーゼ阻害物質
4.シアン配糖体 5.アルカロイド 6.トリプシン阻害物質
II.生理的刺戟物質
1.サポニン 2.赤血球凝集物質 3.ラチルス病病原物質
4.刺戟性油物質 5.蓚酸結晶体
III.アレルギー原物質
IV.ホルモン系作用物質 1.発情ホルモン 2.甲状腺腫原物質
V.ビタミン類およびアミノ酸類桔坑物質

(レオポルドら、1972による)

 

こんなに毒!!豆は加熱して食べましょうね。