ひよこ豆のファラフェル(中東のコロッケ)

ひよこ豆の料理を見ると私はヨルダンのことを思い出す。
f:id:arenlove:20190311002103j:image


・・・・・・

私はバックパッカーだったので、いろんな国を旅してきました。たくさんの見たことないものを見て日本では経験できないことをたくさんしてきた。
海外にでると、普段よりも行動が大胆になって、ありえないような騒動を引き起こしたりもした。

特別な目的をもって旅にということはあまりなく、ただそのときに行きたいところに興味の赴くまま、航空券とバックバック1つで、家を飛び出すという旅だった。
もちろん貧乏旅行。

旅ホリックなのかもしれない。
日本にずっといると、外国の空気がむしょうにすいたくなってくる。

飛行機から降りて初めてその国の空港にたつ、あの瞬間がたまらなく好き。
例えるならば、学校の入学式のときと同じような気持ちかもしれない。
新しい土地での出会いへの、期待と少しの不安とが混在する緊張感。
私の旅は結構ハードで、添乗員もいないルートも決まっていないから結構大変なことが多い。
そこで「よし、きたな、やるぞ、」と一瞬気合を入れなくてはならない。
(だから旅に出るとすごく疲れて帰ってくる。精神的にも肉体的にもくたくた)

そんな私も日本に帰る頃はいつも日本が少し恋しく感じる。
旅先でつくった日本にかえったらすることリストを眺めて、気持ちがはやる。
そして、成田に着くとほっとした反面、
今度はなぜかたまらないくらいにせつなくなる。
また旅に出るぞ。心の中でそう誓う。

旅に出ていちばんおもしろくて、必ず行く場所はスーパーマーケットや、マルシェ。
やはり現地のものを見るのは楽しい。
値段を確認して、日本との違いに驚いていたのは最初だけで、すぐにその国の感覚にすぐに慣れてしまう。
2日目になると、これは現地価格ではちょっと高いなどがわかるようになり、
日本で買うよりずっと安くても買うのを躊躇したりする。
そうしてすぐに現地の感覚になってしまうので、外国人だからといってふっかけてくるような店はまず無視、高い値段を要求されたらなぜ?と追求して理由が納得できるまで買わない。
堂々としていると現地の人もなんか普通の観光客と違うぞ、という目で私を見るようになり、ふっかけてくることもなくなる。
強気でいることは旅の極意である。

(中略)

旅に出ていろんな人に出会った。
その中でも忘れられないひとがいる。
旅の質は、会う人で決まる。
あの国のあの遺跡が、あの風景がよかったというのももちろんあるが、旅中出会ったあの人のおかげでその国が好きで、忘れられないということのほうが俄然多い。
(卒論より)

 

さて、この視点からいうと、中東はとても忘れることができない国です。
シリアから、ヨルダン、レバノンに、イスラエル
日本人に友好的なトルコからシリアに入ったとたんに本気でやばいところに来てしまった!と感じましたが、怖い怖い顔と風貌の裏にやさしさをつめた中東のひとたち。

ヨルダンでの思い出。
野生のらくだに追いかけられた、スーパー怖い体験より、
インディジョーンズの舞台でもある、ぺトラ世界遺産の感動よりも、
オブ・オマル一家との出会いが忘れられない。

バスがなくなり、ホテルもない街に来てしまった私を心配して勤務時間も終わっているのに知り合いの泊まれるお家を探してくれた親切なバスの運転手さん。
そのお友達がオブ・オマルでした。

3日間私を家族のように、あつかってくれたオブ・オマル一家。

初めの日は、親戚全員が集まってもてなしてくれたこと。(20人以上)
兄弟が4人いて、一番下の妹は梅宮アンナそっくり。
家族で遊びに行き、初めてヨルダンのお弁当を体験したこと。
(ペーストをパンにつけるようなお弁当。もちろん手で食べる)
一日に何度も、時間が来たらみんなメッカの方角に向いて、頭を地面につけて祈りをはじめること。
当時の米首相ブッシュを悪魔のようにののしっていたこと。
おばあちゃんが私の前髪を切ってあげると言い出し、せっかくだからと切ったもらったら、ふかわりょうみたいな髪型になったこと。


別れの朝は涙が止まらなかった。
オマル父さんはずっとやさしく微笑んでくれた。
握った手がとても温かくて
その温かさと笑顔に余計に涙がでた。
バスがどんどん離れていってもずっと涙がぽろぽろでた。
なんの関係もない、遠くの国からきた人をどうしてこんなに大切にできるのだろう。
イスラム教の教えでは、おもてなしが最重要視される。
だからこんな行為を当たり前にできるのだとしたら、宗教のことを一概に非難できない。

オマル父さんは私とのメールのためにその後インターネットをつないでくれた。
イラク戦争が勃発したとき、ヨルダンが攻撃をうけ、メールはこなくなった。
いや、私が返事をしなくなったから?その辺のいきさつが思い出せないから気持ちが悪い。




現実離れしすぎていて、すべてが夢のようにも思えてしょうがない。そのほかの時間に何をしていたのか、全然思い出せない。

 

ファラフェルを食べる。鮮やかな光景を忘れないために。